仕事算とは? かべのマスをぬる図でわかる解き方と教え方
仕事算は、何人かで1つの仕事を分けてするとき、「全部で何日かかるか」などを考える特殊算です。 「1人ならこれだけかかる」という情報から、「1日にできる量」を考えるのがポイントです。
このページの上にあるシミュレーターでは、かべのマスを兄と弟がペンキでぬる様子を、1日ずつ動かして確かめられます。 この記事では、保護者の方向けに、仕事算の考え方と、家で教えるときのポイントをまとめました。
仕事算とは
仕事算は、次のような問題です。
かべをペンキでぬります。兄だけでぬると10日、弟だけでぬると15日でぬり終わります。2人でいっしょにぬると、何日でぬり終わりますか。
この問題には「かべの広さ」が書かれていません。 そこで、かべ全体の広さ(仕事全体の量)を自分で決めて、「1日にどれだけできるか」に直して考えます。
全体の決め方には、次の2つがあります。
- 全体を、日数の最小公倍数とおく(整数だけで計算できる)
- 全体を1とおく(分数を使う)
このページのシミュレーターでは、かべを「マス」に分けて、全体を最小公倍数のマス数とおく解き方を扱っています。
まずは基本:全体と1日の量がわかっている場合
はじめに、全体の量と1日にできる量が、どちらも問題に書いてある形で考えます。
かべが30マスに分かれています。兄は1日に3マス、弟は1日に2マス、ペンキでぬります。2人でいっしょにぬると、何日でぬり終わりますか。
- 2人で1日にぬるマス数を出す:3+2=5マス
- 割り算で求める:30マスを1日に5マスずつぬるので、30÷5=6。6日でぬり終わる
- 検算する:6日で、兄は 3×6=18マス、弟は 2×6=12マス。合わせて30マスで、ぴったり合います
2人で1日にぬるマス数は、2人の分をたした数になります。これが仕事算の土台です。
解き方1:全体を最小公倍数とおく
最初の問題(兄だけで10日、弟だけで15日)にもどります。かべの広さが書かれていないので、自分で決めます。
- 全体のマス数を決める:10と15の最小公倍数は30。かべ全体を 30マス と考える
- 1人ずつ、1日にぬるマス数を出す:兄は10日で30マスなので、30÷10=3マス。弟は15日で30マスなので、30÷15=2マス
- 2人で1日にぬるマス数を出す:3+2=5マス
- 答えを出す:30÷5=6。6日でぬり終わる
- 検算する:3×6+2×6=30で、ぴったり合います
全体を最小公倍数にするのは、「1日にぬるマス数」がどちらも整数になるからです。 全体を60マス(最小公倍数の2倍)としても、1日に6マスと4マスで、60÷10=6日と、同じ答えになります。
解き方2:全体を1とおく
同じ問題を、かべ全体を「1」として考えることもできます。
- 兄は10日でぬり終わるので、1日に全体の10分の1(1/10)をぬる
- 弟は15日でぬり終わるので、1日に全体の15分の1(1/15)をぬる
- 2人で1日に、1/10+1/15=3/30+2/30=5/30=1/6 をぬる
- 全体の1をぬるには、1÷1/6=6。6日でぬり終わる
考え方は解き方1とまったく同じで、「30マスのうちの5マス」を「全体の6分の1」と表しているだけです。 全体を1とおく方法は、通分や分数の割り算を使います。分数の計算に慣れていないうちは、全体を最小公倍数とおく方法のほうが、整数だけで計算できて扱いやすいでしょう。
少しむずかしい形
途中から1人でする
兄だけでぬると10日、弟だけでぬると15日でぬり終わるかべがあります。はじめに2人でいっしょに3日ぬり、残りを兄だけでぬりました。残りをぬるのに、兄はあと何日かかりましたか。
全体を30マス、兄は1日に3マス、弟は1日に2マスとするところまでは同じです。
- 2人でぬった分を出す:2人で1日に5マスなので、3日で 5×3=15マス
- 残りを出す:30−15=15マス
- 残りを兄だけでぬる日数を出す:15÷3=5。あと5日
- 検算する:5×3+3×5=30で、ぴったり合います
もう1人の日数を求める
兄だけでぬると10日、2人でいっしょにぬると6日でぬり終わるかべがあります。弟だけでぬると、何日でぬり終わりますか。
- 全体のマス数を決める:10と6の最小公倍数の30マス
- 1日にぬるマス数を出す:兄は 30÷10=3マス、2人では 30÷6=5マス
- 弟の分を出す:2人の5マスのうち、兄の分が3マスなので、弟は 5−3=2マス
- 答えを出す:30÷2=15。15日
2人の分から1人の分を引くところが、ふつうの形と逆になります。
題材が変わっても考え方は同じ
仕事算は、「全体の量」と「1日(1分)にできる量」がある問題なら、題材が変わっても同じように解けます。
| 題材 | 全体の量 | 1日(1分)にできる量 | たずねること(例) |
|---|---|---|---|
| かべのペンキぬり | かべ全体のマス数 | 1日にぬるマス数 | 2人でぬると何日で終わるか |
| 水そうに水を入れる | 水そうに入る水の量 | 1本の管が1分に入れる水の量 | 2本の管で入れると何分でいっぱいになるか |
| 花だんの草むしり | 花だん全体の広さ | 1日にぬく広さ | 2人でぬくと何日で終わるか |
たとえば「A管だけで12分、B管だけで24分でいっぱいになる水そうに、2本の管でいっしょに水を入れると何分か」という問題なら、 水そう全体を12と24の最小公倍数の24とおいて、1分に 24÷12=2 と 24÷24=1、合わせて3ずつ入るので、24÷3=8分です。
なお、「1分(1日)あたりの量」で考える見方は、ニュートン算でも使います。 ニュートン算では、へらす量(受付する人数など)のほかに、時間とともにふえる量も考えます。
子どもがつまずきやすいポイント
1. 日数の平均を答えにしてしまう
兄が10日、弟が15日なら、2人では「その間くらい」と考えて、(10+15)÷2=12.5日 としてしまうことがあります。 2人でいっしょにすれば、どちらの1人よりも早く終わるはずです。 シミュレーターの体験モードで、「兄だけ」「弟だけ」「2人いっしょ」を切りかえて日数を比べると、実感しやすくなります。
2. 日数をたしてしまう
10+15=25日 のように、日数をたしてしまうこともあります。 たすのは「日数」ではなく、「1日にできる量」です。
3. 1日にできる量の差で割ってしまう
「兄の3マスと弟の2マス」から、3−2=1 として 30÷1=30日 と計算してしまうことがあります。 2人でいっしょにするときは、1日にできる量はたし算です。 逆に、「2人の日数」から「もう1人の日数」を求める問題では、2人の量から1人の量を引き算します。どちらの場面かを、図で確かめましょう。
4. 途中までにした分を引き忘れる
「2人で3日したあと、残りを兄だけで」という問題で、全体の30マスをそのまま兄の3マスで割って、30÷3=10日 としてしまうことがあります。 まず、2人でした分を全体から引いて、残りを出すことが大切です。
家での教え方
全体を「マス」など、目に見えるものにする
「仕事全体」は目に見えないので、はじめは戸惑うお子さんもいます。 かべのマス、花だんの区画、水そうの水のように、数えられるものに置きかえると考えやすくなります。 シミュレーターでは、1日ごとにマスに色がつき、マスの中に「何日目にぬったか」が書かれるので、1日にできる量をそのまま見ることができます。
「なぜ最小公倍数なのか」を確かめる
全体を最小公倍数にするのは、1日にできる量を整数にするためです。 「全体を60マスにしたら?」「25マスにしたら?」とお子さんと試してみると、25マスでは1日にぬるマス数が整数にならないことがわかり、最小公倍数を選ぶ理由が納得しやすくなります。
分数に慣れてきたら、全体を1とおく方法も
全体を1とおく方法は、「全体の何分のいくつ」という見方が身につくと便利です。 最小公倍数で解いたあとに、「30マスのうちの5マスは、全体のどれだけ?」と聞いて、5/30=1/6 に結びつけると、2つの解き方のつながりが見えてきます。
まとめ
- 仕事算は、全体の量を決めて、「1日にできる量」で考える
- 全体を日数の最小公倍数とおくと、整数だけで計算できる。全体を1とおくと、分数で同じように計算できる
- 2人でいっしょにするときは、1日にできる量をたす。日数をたしたり、平均したりしない
- 途中から1人でするときは、2人でした分を全体から引いてから、残りを考える
- ペンキぬり、水そうに水を入れる、花だんの草むしりなど、題材が変わっても考え方は同じ
まずはページ上部のシミュレーターで、お子さんと一緒に「兄だけ」「弟だけ」「2人いっしょ」を切りかえながら、ぬり終わるまでの日数を比べてみてください。
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