旅人算とは? 線分図と「速さの和・差」でわかる解き方と教え方
旅人算は、2人(または2つのもの)が動くときに、出会うまでの時間や、追いつくまでの時間などを求める特殊算です。 「2人の間の道のりが、1分間にどれだけ縮まるか」に注目するのがポイントで、速さの単元の総まとめのような位置づけで扱われることもあります。
このページの上にあるシミュレーターでは、線分図の上を2人が動き、出会う瞬間・追いつく瞬間を1分ずつ確かめられます。 この記事では、保護者の方向けに、旅人算の考え方と、家で教えるときのポイントをまとめました。
旅人算とは
旅人算には、大きく分けて次の2つの形があります。この記事とシミュレーターでは、この2つを扱います。
| 形 | 2人の動き方 | 1分間に縮まる道のり |
|---|---|---|
| 出会い算 | 向かい合って進む | 2人の速さの和 |
| 追いかけ算 | 同じ向きに進む | 2人の速さの差 |
どちらも、2人が同時に動いているときは、「2人の間の道のり」が一定の割合で縮まっていくと考えます。 間の道のりが0になったときが、出会う(追いつく)ときです。
なお、池のまわりを回る問題(周回算)や、行って戻る問題(往復算)も旅人算の仲間ですが、基本はこの記事の2つの形の組み合わせです。
出会い算の解き方
例題で考えてみます。
兄は家から、弟は公園から、同時に向かい合って出発しました。家から公園までは1000mです。兄は分速60m、弟は分速40mで歩きます。2人は出発してから何分後に出会いますか。
- 1分間に縮まる道のりを出す:1分間に兄は60m、弟は40m進むので、2人の間は 60+40=100m 縮まる(速さの和)
- 割り算で求める:1000mが1分間に100mずつ縮まるので、1000÷100=10。10分後に出会う
- 検算する:10分間に兄は 60×10=600m、弟は 40×10=400m 進む。合わせて 600+400=1000m で、家から公園までの道のりとぴったり合う
線分図で見ると、兄が進んだ道のりと弟が進んだ道のりを合わせたものが、はじめの2人の間の道のりになっていることがわかります。
追いかけ算の解き方
弟が家を出発しました。弟が300m進んだとき、兄が家を出発して、同じ道で弟を追いかけました。兄は分速80m、弟は分速50mで歩きます。兄は出発してから何分後に弟に追いつきますか。
- 1分間に縮まる道のりを出す:1分間に兄は80m、弟は50m進む。同じ向きに進むので、2人の間は 80−50=30m 縮まる(速さの差)
- 割り算で求める:300mが1分間に30mずつ縮まるので、300÷30=10。10分後に追いつく
- 検算する:10分間に兄は 80×10=800m、弟は 50×10=500m 進む。その差は 800−500=300m で、はじめの2人の間とぴったり合う
追いかけ算では、線分図の上で兄が進んだ道のり=はじめの差+弟が進んだ道のりになります。 出会い算と違って、2人の進んだ道のりの「差」が、はじめの2人の間の道のりになります。
ページ上部のシミュレーターで「同じ向きで追いつく」に切りかえると、1分ごとに2人の間が30mずつ縮まっていく様子を見られます。
時間・道のり・速さのどれを求めるか
旅人算では、「2人の間の道のり」「1分間に縮まる道のり(速さの和・差)」「時間」の3つの関係を使います。 ふつうの「速さ・時間・道のり」の関係と同じ形です。
| 求めるもの | 出会い算 | 追いかけ算 |
|---|---|---|
| 時間 | 道のり ÷ 速さの和 | 道のり ÷ 速さの差 |
| はじめの2人の間の道のり | 速さの和 × 時間 | 速さの差 × 時間 |
| 1人の速さ | 道のり ÷ 時間 − もう1人の速さ | 道のり ÷ 時間 + もう1人の速さ |
たとえば「家から公園まで何mか」を求める問題なら、出会うまでの時間が10分、速さの和が100mなので、100×10=1000m です。 兄の速さを求める問題なら、1000mが10分で縮まったので1分あたり 1000÷10=100m。これが速さの和なので、兄の速さは 100−40=60m(分速60m)になります。
シミュレーターの問題モードでは、「かんたん」で時間を、「ふつう」で道のりも、「むずかしい」で速さも求める問題が出ます。
子どもがつまずきやすいポイント
1. 「和」と「差」を取り違える
最も多いまちがいです。「向かい合うときは和、同じ向きのときは差」と丸暗記していると、問題の場面が少し変わっただけで迷ってしまいます。 「1分たつと、2人の間は何m縮まる?」と毎回問いかけて、線分図で確かめる習慣をつけるのが効果的です。 シミュレーターの問題モードでも、和と差を取り違えた答えを入れると、そのことをヒントで表示します。
2. 先に出発した分を忘れる
追いかけ算では、「弟が5分先に出発した」のように、差が時間で与えられることがよくあります。 この場合は、まず先に進んだ道のりを求めます。
- 例:弟が分速60mで家を出発し、その5分後に兄が分速90mで追いかけた → 弟が先に進んだのは 60×5=300m。1分間に 90−60=30m ずつ縮まるので、300÷30=10。兄が出発してから10分後に追いつく
このとき、答えは「兄が出発してから」の時間です。「弟が出発してから」なら 5+10=15分後になります。問題が「いつから数えた時間」を聞いているかに注意しましょう。
3. 単位をそろえない
速さが「時速○km」、道のりが「m」で与えられることもあります。計算の前に単位をそろえます。 たとえば時速3.6kmは、1時間(60分)に3600m進む速さなので、分速 3600÷60=60m です。
4. 答えを確かめない
答えが出たら、それぞれが進んだ道のりを計算して、出会い算なら「合わせると」、追いかけ算なら「差をとると」はじめの2人の間の道のりになるかを確かめます。 検算をすると、和と差の取り違えにも気づけます。
家での教え方
まずは「1分ごとの表」で規則に気づかせる
式に入る前に、1分ごとの2人の位置と、2人の間の道のりを表にしてみるのがおすすめです。出会い算の例題なら、次のようになります。
| 時間 | 兄が進んだ道のり | 弟が進んだ道のり | 2人の間 |
|---|---|---|---|
| 0分 | 0m | 0m | 1000m |
| 1分後 | 60m | 40m | 900m |
| 2分後 | 120m | 80m | 800m |
| 3分後 | 180m | 120m | 700m |
| … | … | … | … |
| 10分後 | 600m | 400m | 0m |
「2人の間が1分に100mずつ減っていく」ことにお子さん自身が気づけば、「1000÷100」という式の意味が自然にわかります。 シミュレーターの体験モードは、この表を1分ずつ動かしながら確かめられるように作っています。
実際に動いてみる
部屋の端と端から2人で向かい合って歩いたり、おもちゃの車を2台動かしたりすると、「近づく速さは2人の速さを合わせたもの」という感覚がつかみやすくなります。 同じ向きに動かせば、「速い方が少しずつ追いつく」様子も確かめられます。
線分図は、自分でかけるようにする
旅人算は、場面が複雑になるほど線分図が頼りになります。 最初は、シミュレーターの線分図をまねして、出発地点・進む向き・進んだ道のりをかき入れるところから始めましょう。 「どこからどこまでが、はじめの2人の間か」を図の上で指さしてもらうと、理解できているかを確かめられます。
まとめ
- 旅人算は、2人が動くときの「2人の間の道のり」が、1分間にどれだけ縮まるかに注目して解く
- 向かい合って進む出会い算は速さの和、同じ向きに進む追いかけ算は速さの差だけ、1分間に縮まる
- 時間=道のり÷速さの和(差)。道のりや速さを求めるときも、同じ関係を使う
- 先に出発した分は、先に道のりに直す。「いつから数えた時間か」にも注意する
- 家では、1分ごとの表で規則に気づかせる → 実際に動いてみる → 線分図を自分でかく、の順がおすすめ
まずはページ上部のシミュレーターで、お子さんと一緒に2人を動かして、出会う瞬間・追いつく瞬間を確かめてみてください。
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